2022年12月11日日曜日

ほんとうに

 

 

だいぶ前

もう

昔々のこと

 

ネットで拾った

ラッセンとか

スーパーリアリズムとかのような

ずいぶん色あざやかに弄くってある

派手派手な写真を

Facebookに載せてみたら

こんな色

あまりに人工的過ぎて俗悪だ

コメントしてきた人がいた

 

バカだなあ

色なんてどうでもいいから

写っている

小さなグラスと窓わくのかたちの調和を見れば

この写真はステキなんだよ

思った

 

雑巾みたいに

くしゃくしゃの濡れた紙みたいなのを

紙粘土みたいにして

どろどろに

いくつも重ねて

そこに人工的にいろんな色を

投影してみたらしい写真を載っけてみたら

醜い雑巾みたい

なにこれ?

コメントしてきた人がいた

 

バカだなあ

投影された人工色の

あの重なり具合が

あの写真の場合

とってもいいところだってのにナ

思った

 

隅田川のほとりに

住んでいた頃

ほんとうに

たびたび美しい夕焼けや

朝焼けに出会い

写真もずいぶん撮ってみたが

ヘンな人工的な調整を大げさにしなくても

空全体や

あたり一面が

ピンク色に燃えるように見える時間も

ほんとうに

ほんとうに

あった

 

撮った写真を

Facebookに載せてみると

こんな色

嘘だ

いくらなんでも

人工的な処理をし過ぎている

コメントしてきた人がいた

 

かわいそうに

世界が

ほんとうに

信じられないほど美しくなる時間があるのを

経験したことがない

人なんだナ

思った

 

おなじ物質界にいるようでも

ひとりひとり

ほんとうに

異なった境遇を生かされている

 

運命は

残酷なものです

ほんとうに





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