むしろ校門のところに

 

 

内田百閒に

「間抜けの実在に関する文献」という文章があるが

バカ大学

アホ大学

というものも

世には

いまだに実在する

 

校門のところに門番を立たせて

体温チェックなどしている

そこが

とんでもなく

バカ大学

アホ大学

なのである

 

わるい風邪など引いて

高熱を出して

大学に入ってこようとする者を

ここで見つけて

入れないようにしよう

としているわけで

ある

 

こういう配慮は

そこの大学の学生たちが

高熱を出している時でさえ

なおも大学に通ってこようとする

そんな向学心に

燃えた者たちであるのを

前提として

はじめて機能するのだし

意味を持つ

 

わるい風邪も引かず

高熱など出してもおらず

元気はつらつな時でも

なんやかや

屁理屈をつくってでも

とにかくも自主休校すべく

大学にあまり通ってこないような

そんな学生たちの

やけに多い大学にあっては

校門のところに門番を立たせて

体温チェックするなど

どうかしている

 

むしろ

校門のところに

他の業種がよくやっているように

きれいなお姉さんを立たせて

呼び込みをさせるとか

イケメンの大判写真を並べて

ネオンサインをチカチカさせるような

そんな企業努力をするほうが

よほど実情に合っている

 

彼を知り

おのれを知れば

百戦あやうからず 

と孫子に言うが

まあ

お客さまについても

おのれについても

しっかり

ちゃんと知るというのは

いつの世でも

どんななりわいにあっても

困難この上ない

 

一日でも

一秒一刻でも

とにかく

学校に来たくない

という

学生たちや

教員たちや

職員たちばかりの大学にあっては

なおさらのことである