他人が語った物語は
もう
おもしろくない
自分の記憶の中にある
たくさんの物語も
いつか他人から聞き覚えたものは
もう
おもしろくない
自分で紡ぎ出しているかのようでも
自分で“創作”しているかのようでも
いつか他人から聞き覚えたあれこれから
合成したり
取捨選択したりしてできたものは
もう
おもしろくない
そうして
いま
誰もまわりにいない
冬の砂浜
すこし汚れた白いプラスチック製のイスに座り
やはり
少し汚れたテーブルには
紙コップに入った安いコーヒーさえ
置いていない
ペットボトルの水さえ
置いていない
少し肌寒いし
海から
風が吹いてきている
後で
水かコーヒーを買って
また
このテーブルに戻ってくるかもしれない
しかし
いま
なにもテーブルには
置いていない
なにも置いていない
いまが
とてもいい
なにか
到達点のように
感じる
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