このあいだ
紀伊國屋書店の洋書売り場で
ヘルダーリンの見やすい詩集も買おうと思ったが
ドイツ語のものは
分厚いレクラム文庫版しかなく
文字も小さかったので
躊躇した
しかし
こんな部分を翻訳で読むと
レクラム文庫版でも
買っておけばよかった
と思う
私が子供だった時
神がよく助けてくれた
人間たちの罵声と笞(しもと)から。
そこで私はのびのびと遊んだ
森の花々と。
そして大空にそよぐ風も
私と遊んでくれた。
草や木があなたに向かって
あえかな腕を伸ばす時
その草木の心を
楽しませてやったように*
精神を病んで
37歳で知的活動を停止し
死までの36年間を
彼の詩の愛読者だった
家具職人の家に引き取られて
精神の薄明を生きた
という彼の詩は
まだまだ
じゅうぶんに
わが身に染み込ませ得ては
いない
*「私が子供だった時…」。川村二郎訳『ヘルダーリン詩集』(
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