地代が高いからか
ヘンな高ピーぶりのためか
神楽坂は商品の値段が割高で
ものを買うにも
なにか食べるにも
不快にぼったくられている感が強い
しかし
神楽坂6丁目のスーパー「よしや」や
その向かいの八百屋「丸木屋」には
けっこう安い商品があるので
少し歩いて買い物に行く
キャベツも白菜もレタスも高い昨今
特に「丸木屋」では安いものを売っていたので
よく買いに行った
向かいにある「よしや」は
神楽坂にある店だから高値で売っているだろうと思い
ながいこと入らないできたのだが
今年に入ってふと入ってみたら
意外にも安いものが多く
魚もいいものを売っているし
酒の取りそろえもすごい
これは
ちょっと歩くのに時間をかけても
週になんどか行くべし
と考えを改め
店の「よしやカード」まで作ってしまった
こんなちょっとしたことで
神楽坂に対するイメージが変ってしまうのだから
町というのは不思議なものだ
この「よしや」のとなりには
文悠書店という本屋があるが
じつは数十年のむかし
大学生の頃
わたしはここで3年ほどアルバイトをしていた
レジ係や本の整理や出し入れや掃除まで
なんでもやったが
日曜日などは店頭にワゴンを出して
文具や小物を売ったりもした
当時のこのあたりの人には好かれて
わたしが休んだりすると
「あのお兄さん、今日はいないの?」
などと他の店員が聞かれたりしたという
かつてのバイト先の周囲に
ちょっとながなが歩いてまでして
わざわざ買いに行きたくなるような店があり
神楽坂通りの坂を上って
目白通りまで渡って通っていくことになったわたしとは
「お釈迦さまでも気がつくめぇ」
などという思いが湧いてきてしまう
なんだか奇妙な縁で
学生時代に嵌まり込んでいた歌舞伎のなかの
あの『与話情浮名横櫛』のセリフ
死んだと思ったお富たぁ
お釈迦さまでも気がつくめぇ
よくまぁお主ゃぁ 達者でいたなぁ」
も浮かんでくる
「死んだと思ったお富」ばかりが
どんどん増えて
すっかり世間の様相も
変わりはてたこのご時世のなかに
浮かんでくる
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