2025年1月17日金曜日

エリコへ下る道

 

 

 

停戦合意がなされたというのに

ガザではイスラエル軍の攻撃が相次ぎ

少なくとも

81人が死亡したという

 

締め切り間際の

駆け込み虐殺

とでもいうものだろうか

 

記事を読みながら

イスラエルやパレスチナ自治区の地図を見ると

ヨルダン川西岸自治区の東に

死海があるのが見える

 

死海の北東部には

古代オリエントで最も古い町エリコがあったはずだな

と思い出した

 

ルカによる福音書の有名な箇所に

こうある

 

イエスは答えて言われた。

「ある人が、エルサレムからエリコへ下る道で、強盗に襲われた。強盗どもは、その人の着物をはぎ取り、なぐりつけ、半殺しにして逃げて行った。

たまたま、祭司がひとり、その道を下って来たが、彼を見ると、反対側を通り過ぎて行った。同じようにレビ人も、その場所に来て彼を見ると、反対側を通り過ぎて行った。

ところが、あるサマリヤ人が、旅の途中、そこに来合わせ、彼を見てかわいそうに思い、近寄って傷にオリーブ油とぶどう酒を注いで、ほうたいをし、自分の家畜に乗せて宿屋に連れて行き、介抱してやった。

次の日、彼はデナリ二つを取り出し、宿屋の主人に渡して言った。

『介抱してあげてください。もっと費用がかかったら、私が帰りに払います。』 この三人の中でだれが、強盗に襲われた者の隣人になったと思いますか。」 

彼は言った。

「その人にあわれみをかけてやった人です。」

するとイエスは言われた。

「あなたも行って同じようにしなさい。」

10:30-37

 

今の世にも強盗がおり

祭司がおり

レビ人がいる

 

よきサマリヤ人も

いるだろう

 

「だれが、強盗に襲われた者の隣人になったと思いますか」

というイエスの言葉に

「隣人」になる必要などない

と心のうちで答える者も

いつの世にも

多いことだろう

 

エリコといえば

むかし

『エリコへ下る道』

という

小川国夫の作品もあった

 

むかし

というのは

もう誰も読まず

返り見ないからだ

 

一時期

という以上に

長い年月

戦後の優れた作家や詩人と目されていた人たちが

もう

すっかり忘れられ

返り見られず

読まれない

 

残念とか

遺憾とか

嘆かわしいとか

いうより

世間で価値があるとされたすべてが

自然のなかでの風化のように

蒸発現象のように

そのようになっていくのを

わたしは

ずいぶん見た

 

エリコは

英語ではジェリコである

ヘブライ語では

ヨイホ

という音に近い

 

アラビア語では

アレハ

という音に近いようだ





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